税理士によって相続税額が変わるのをご存知ですか?
ひとくちに税理士といっても得意分野が異なります。相続税のことはやはり相続税に強い税理士でなければ相続税を多く支払ってしまったということになりかねません。
とくに大きな差となるのは、不動産の評価についてです。不動産については机上の計算だけの評価ならどの税理士が評価しても評価額はほとんどの場合同じになります。
しかし、相続税や不動産に強い税理士が、実際に現地に不動産を見に行ったり、測量をしたり、物件の周りを自分の足を使って歩いて回ってみることで、その不動産の減額要因を見つけることができ、評価額を下げることによって、結果的に相続税額も下げることができるのです。これをできるのは相続税に強く、さらには不動産にも強い税理士でなければ事実上難しいと言えるでしょう。
つまり、相続税に詳しくない机上の計算だけの税理士と相続税や不動産の知識と経験を持った税理士では、不動産の評価の点で非常に大きな差となり、その差が実際に納付しなければならない相続税額の差となってしまうのです。
ある税理士が財産評価・相続税計算をして相続税申告をしてみたものの、相続税や不動産に強い税理士が確認してみると、税金を多く払っていたことがわかり、税金を取り戻すことができたという話はよく聞きます。
日本全国の税理士は約74,000人(平成26年6月末)であり、相続税の申告件数は約52000件(平成24年度)であるので、相続税申告を経験するのは税理士一人当たり年間平均0.7件という計算になります。つまり、多い税理士は年に何件もの相続案件を扱いますが、1件も扱わない税理士の方が圧倒的に多いということです。
したがって、相続税申告に慣れている税理士と相続税申告に慣れていない税理士では、当然にその差は大きなものとなります。
また、税理士試験は国家資格の中でも難関資格として有名ですが、相続税法は必須科目ではなく選択科目になっており、相続税法を全く勉強せずに税理士になられた方も非常に多いのです。もちろん相続税法を試験科目に選択して受験したというだけでは判断は難しいものですが、相続税申告を依頼する場合の一つの目安になるのではないでしょうか?
大阪相続研究所では、相続コンサルタントでもある税理士が相続税申告を担当させていただきます。大阪相続研究所は不動産に強いメンバーがそろっており、相続税申告を担当する税理士自身も不動産にも強い税理士であり、税理士の試験科目である相続税法にも合格しています。
また、大阪相続研究所では相続コンサルタントがプラットホームとなり、行政書士・司法書士・不動産コンサルタント・不動産会社などと連携しながら業務をすすめていきますので、相続税申告だけでなく、トータルな相続に関するご要望に対応することが可能なのです。
相続税が発生する場合でも諦めないで!
相続対策、とくに相続税(節税)対策は相続発生前の早い時期からじっくり行っていくのが原則ですが、相続開始後も諦めないでください。遺産をどのように分けるかによって、納付税額も違ってくるのです。
相続税が発生する場合でも特例を使ったり分割方法を工夫することで相続税が減額もしくは発生しないケースもございます。相続が発生したけれど課税遺産総額が基礎控除額を超えてしまっているような場合も大阪相続研究所までご連絡ください。
■配偶者控除を利用する
配偶者については、被相続人の財産形成に寄与していることや被相続人死亡後の生活保障面などが考慮され、税額が大幅に軽減される特例があります。これを「配偶者控除の特例」といいます。
これにより、配偶者が取得した遺産額のうち次のどちらか多い金額までは相続税がかかりません。
1.配偶者の法定相続分相当額
2.1億6000万円
したがって、正味相続財産の1/2ないし1億6000万円相当額の相続財産までは、相続税がかからないことになります。
しかし、二次相続でも相続税が発生する場合は要注意で、二次相続の際には配偶者は存在しないために配偶者の税額軽減は使えません。
そのため、配偶者と子の取得割合を考え、二次相続を含めた税額のシミュレーションをすることがお勧めです。一次相続の際のの納税額と二次相続の際の納税額をシミュレーションすることでトータルの納税額を抑えるような分割方法を考えるわけです。
ただ、このシミュレーションは配偶者控除を一次相続で適用するのか否かという視点も大切なのですが、二次相続までも考えるということは基礎控除が2回適用できるということでもあり、建物のような減価償却資産がある場合は時間の経過によって評価額も下がってくることを考えなければなりません。
ですので、配偶者控除の適用を検討されている方は相続税と不動産に強い税理士がいる大阪相続研究所へご連絡ください。
■小規模宅地等の特例を利用する
被相続人や被相続人と生計をともにしていた人の住まいや、店舗などの事業に使われていた宅地は、それが生活に必要不可欠なものとして、宅地の評価額を減額する制度があります。これを「小規模宅地等の特例」といいます。
対象となる宅地は、相続開始直前まで住まいや事業用に使用されているだけではなく、そこに建物や構築物が存在していなければなりません。
また、特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限までに特例の適用を受ける宅地の遺産分割をすませておく必要があります。
【小規模宅地等の種類と減額の割合】
宅地の種類によって限度面積と減額割合は異なります。
宅地等の種類 | 限度面積 | 減額割合 |
---|---|---|
特定居住用宅地 | 240㎡(改正後330㎡) | 80% |
特例事業用宅地 | 400㎡ | 80% |
貸付事業用宅地 | 200㎡ | 50% |
特定同族会社事業用宅地 | 400㎡ | 80% |
【小規模宅地等の減額特例の適用要件】
特例の適用を受ける場合は、次のような条件を満たさなければなりません。表の(A)(B)ともに○がつく場合のみ適用となります。
<住まいの宅地に特例を適用する場合>
相続した人 | (A)申告期限まで所有する | (B)申告期限まで住む | ||
---|---|---|---|---|
特定居住用宅地 | 被相続人の居住用 | 配偶者※1 | なし | なし |
同居の親族 | ○ | ○ | ||
持ち家のない親族※2 | ○ | なし | ||
被相続人と生計をともにする親族の居住用 | 生計をともにする親族 | ○ | ○ |
※1 被相続人の配偶者がその宅地を取得した場合は、無条件に適用。
※2 配偶者、同居親族がいない場合で相続開始前3年以内に日本国内にある自分または自分の配偶者の持ち家に住んだことがない。
<事業用の宅地に特例を適用する場合>
相続した人 | (A)申告期限まで所有する | (B)申告期限まで住む | ||
---|---|---|---|---|
特定事業用宅地 | 被相続人の事業用 | 事業を引き継ぐ親族 | ○ | ○ |
被相続人と生計を共にする親族の事業用 | 生計を共にする親族 | ○ | ○ | |
貸付事業用宅地 | 被相続人の貸付事業用 | 貸付事業を引き継ぐ親族 | ○ | ○ |
被相続人と生計を共にする親族の貸付事業用 | 生計を共にする親族 | ○ | ○ | |
特定同族会社 | 一定の法人の事業用宅地 | 法人の役員である親族 | ○ | ○ |
※一定の法人とは、相続開始直前に被相続人やその親族、被相続人と特別の関係のある人が発行済株式総数または出資金額の50%超を保有している法人
小規模宅地等の特例を受けるには、相続税の申告期限までに分割が済んでないといけません。但し、小規模宅地の特例の適用を受けずに相続税の申告した後、次のいずれかに該当するようになったときは特例を受けることができます。
・相続税申告期限後、3年以内に分割された場合
・相続税申告期限後、3年以内に分割できない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなってから4ヶ月以内に分割された場合
以上の場合は、4ヶ月以内に更正の請求ができます。
なお、小規模宅地等の特例を受けるためには、必ず相続税の申告書の提出が必要となります。
小規模宅地等の特例は、要件を満たせば80%や50%の評価減という節税効果もかなり高い制度なのですが、制度そのものが複雑であるため相続税申告を得意とする税理士でなければこの特例をうまく利用することができないのではないかと思います。
■不動産の分割方法を工夫する
土地は利用単位ごとに評価することになっています。
しかし、仮に更地を相続人間で分割取得した場合には、その分割が不合理でない限り、分割後の利用区分に応じて評価することができます。
例えば下記にあるような土地を、共有で取得するのと分割取得するのとでは、評価額に大きな差がでるのです。つまり、遺産をどのように分割するかによって相続税額も変わってくるのです。
また、遺産分割等において、その分割が著しく不合理であると認められる場合、例えば、無道路地、帯状地又は著しく狭あいな画地を創出するなど、分割後の画地では現在及び将来においても有効な土地利用が図られないと認められる分割をした場合においては、分割前の画地を一利用単位として評価します。