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福祉信託(福祉型家族信託)

担当専門家  行政書士

福祉信託(福祉型家族信託)とは?

福祉信託(家族型福祉信託)というのは、「高齢者や障がい者等の生活支援のための民事信託」であり、遺言書や成年後見制度を補完するため、あるいは、遺言書や成年後見制度の限界部分を補うための「財産管理の一手法」として注目されています。

例えば、

  • 高齢者が将来における自らの介護費用に充てるための信託を設定する
  • 高齢者が自分の死後の事務処理を行ってもらうための信託を設定する
  • 障害者の子を持った親が自分の死後における子供の生活資金に充てるための信託を設定する

などといった形で、信託という制度を高齢者や障がい者における「福祉」という目的のために役立てようとするものです。

「配偶者亡き後問題」「親亡き後問題」には福祉型家族信託で対策を!!

超高齢化社会となり、「老老介護」や「認認介護」という言葉も珍しくない時代になってきました(「老老介護」とは、老人が老人を介護すること。「認認介護」とは、認知症高齢者が認知症高齢者を介護すること。)

現在では、高齢者による高齢者の介護も珍しくなく、高齢者夫婦が抱える大きな不安の一つに、「自分が亡くなった後の配偶者の生活は大丈夫だろうか?」という、配偶者の方の財産管理や身上監護の問題があります。この問題は「配偶者亡き後問題」と言われています。

また、障がいを持つ子供さんを抱える親御さんにとって、自分が死亡した後の子供さんの生活については非常に関心のあることでしょうし、子供さんの生活を確保するための対策も必要となってきます。

障がいを持つ子供さんへの生活支援は、多くの場合そのご両親が行っているのが現状です。ご両親が子供さんの介護を直接できない場合でも在宅や施設による医療・介護サービスを受けることで対応できるでしょう。ご両親が元気なうちはあまり問題なく子供さんへの生活支援をすることもできると思います。

しかし、そのご両親が二人とも亡くなってしまったらどうなるでしょうか?そのご両親も高齢となり認知症にかかってしまったらどうなるでしょうか?

これは「親亡き後問題」と言われたりするのですが、このような場合、障がいを持つ子供さんの安心できる生活を確保すために福祉型家族信託を利用することで対策をとれるようになるのです。

この「親亡き後問題」は何も障がいのある子供を持つ親だけの話でなく、交通事故にあい重度の後遺症が残ってしまったような場合や極度の浪費癖があり子供自身に財産管理をさせるには問題がある場合にも同じようなことがいえるのです。


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具体的な事案

交通事故により高次脳機能障害をもつに至った子供さんへの財産承継とその管理方法(親亡き後問題)

相談者:70歳代の母親A
家族関係:Aには、亡き夫Bの子供である長男C,次男D、長女:Eがいる

<状況>
次男Dは、会社への出勤途中に交通事故にあい高次脳機能障害の後遺症が残った。
母親Aは、現在次男Dと二人で暮らしているが、Dには記憶障害がみられ日常生活には支障はないが財産管理はできない。

<不安>
Aが亡くなった後に、DはAから承継した自宅不動産で安心して暮らすことができるだろうか?
Aから引き継ぐ相続財産を適切に管理できるだろうか?
長女Eは次男Dの面倒をよく看てくれているはいるが、Eにばかり負担をかけてしまうことになり気掛かりとなっている。
福祉信託事例

<希望>
Aが亡くなった場合には、Dがこれまでどおり自宅不動産ですごせるようにしてやりたい。
Aの遺産はDのために管理して使ってほしい。その財産管理を長男Cに託したい。
次男Dが亡くなった後の残余財産は長男Cに譲りたい。

<対策>

Aが何の対策もとらずに死亡した場合

Aの財産は遺産分割協議によって相続人間で分けられるか、協議が整わなければ法定相続分としてC,D,Eがそれぞれ1/3ずつ承継することになるでしょう。

この場合、Aの希望としては障がい者であるDを自宅不動産で安心して生活できるようにしたいとの想いがありますが、不動産が共有状態となって他の共有者の経済状況によっては持分が差押えられたりする可能性もあり、Dが安心して自宅不動産で暮らせなくなる可能性もあります。

負担付遺贈

Aが長男Cに遺産を多く与え、その代わりとして次男Dの生活支援を行う義務を課す遺言、すなわち負担付遺贈を利用することも考えられます。

この場合、受遺者Cが「次男Dの生活支援を行う」という負担を履行しない場合もあります。また、受遺者は承継した遺産を自由に使うことができるため承継した財産を散逸させてしまい負担を履行できなくなってしまうこともあります。

このような場合、次男Dの生活の安定は確保できないことになってしまいます。

成年後見制度

Aは、次男Dのために長男Cを成年後見人候補者とする後見開始の審判を申立てることも考えられます。そのうえで、Dの生活のために必要な財産を遺言書で次男Dに相続させる準備をしておきます。

こうすることによって、Aの生前中は長男Cが次男Dの財産管理・身上監護を行います(身上監護には事実行為と法律行為があり、成年後見人の身上監護には事実行為は含まれませんので、身の回りの世話等の事実上の身上監護はAが行うか、在宅介護などのサービスを利用することになります)。A死亡後も、長男Cが次男Dの財産管理や身上監護を行い、次男Dの生活支援をすることになります。

ただし、成年後見制度を利用する場合、被成年後見人の財産を被成年後見人のために何らかの事情で処分等しようとしても家庭裁判所の許可が得られない場合もあり、必ずしも被成年後見人である次男Dのための財産管理ができない場合もあるのです。

また、この場合、Aが成年後見人となった長男Cの労をねぎらい次男Dが亡き後の残余財産は長男Cに取得させたいと考えるならば「後継ぎ遺贈」が必要になってきますが、遺言書を使って後継ぎ遺贈を利用するのは現行の法制度上では難しいのです。

福祉型家族信託

Aは、次男Dの生活支援を目的として、Aを委託者、Cを受託者、Aを第一受益者、次男DをA死亡後の第二次受益者とした信託を設定します。

また、場合によっては受益者を保護するために行政書士などの専門家を信託監督人として定めておくことも考えます。そして、信託終了時の残余財産の帰属権利者を長男Cとする信託契約を設定します。

信託設定後、受託者である長男Cは信託目的に従って財産を管理することになります。また、行政書士などの専門家が信託監督人となっている場合には、長男Cの受託者としての行動を監督することになります。

さらに、信託終了時の残余財産の帰属先も信託契約によって設計しているので、帰属権利者は長男Cとなり、後継ぎ遺贈として財産をAの希望する人へ承継させることができます。


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以上のように、「親亡き後問題」や「配偶者亡き後問題」では福祉型家族信託を利用することにより希望通りに財産を承継させることができるのです。また、遺言書や成年後見制度を福祉型家族信託と併用することによりきめ細かな財産承継を実現することができるのです

代表的な福祉型家族信託は、高齢者や障害者など管理能力に乏しい家族を抱えた委託者が、信頼できる家族や親族を受託者にして財産を移転し、その財産を管理・運用しあるいはそれによって得られた収益を信託の目的に即して受益者(高齢者や障害者)に生活費や施設利用費等を給付するという仕組みです。

この福祉型家族信託は、委託者の死後も、またはその意思能力が減退した後も、愛する家族である受益者(高齢者や障害者)の安定した生活を確保する制度として利用することができるのです。

基本的に信託は、財産管理機能と言われていますが、家族信託にあっては単なる財産管理ではなく、財産の給付等に伴う受益者(高齢者や障害者)の生活支援保護の機能も併せ持った制度と言えますし、さらには財産の承継機能も活用することができる制度なのです。

「配偶者亡き後問題」や「親亡き後問題」への対策は、行政書士のような法律専門職と介護・福祉・医療に従事する方々とが相互に連携し、チームとなってサポートすることが必要不可欠と考えています。そうしたサポートチームが地域の行政や関係諸機関と密接に連携することで高齢者や障がい者の方への充実したサポート実現が可能になるのです。

そういった想いから当研究所では家族信託のなかでもとくに福祉に利用できる福祉型家族信託という制度があるということを多くの方に知っていただきたいと思っています。

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